スコッチウイスキーは大きく2種類に分けることが出来ることをご存知ですか?ウイスキーに詳しくないとわからないですよね。
その2種類に分類される「ブレンデッド」と「シングル・モルト」の違いについてから、おすすめのシングルモルト・ウイスキーについて、バーテンダー暦20年の私が記事にしてみました。
これからウイスキーを覚えてくれる方が増えると嬉しく思います。
ブレンデッドウイスキー
大麦麦芽が原料のモルトウイスキーと、トウモロコシなどが原料であるグレーンウイスキーを何種類もブレンドして、バランスを考えられて作られた飲みやすい味わいのものが多い。
シングルモルトに比べ価格が安い。かつ、個性が少ないのでハイボールには向いています。
シングルモルト・ウイスキー
シングルモルトとは一つの蒸留所のみで作られる、モルト(大麦麦芽)だけで作られたウイスキーのことを指します。
蒸留所ごとに個性があるので、同じシングルモルトでも飲みやすい華やかなものから、個性的で薬のような香りのものまで多種多様のウイスキーが存在します。
銘柄によって味わいの違いを楽しめるのはシングルモルト・ウイスキーです。
スコットランドを5地域で分類
スコットランド各地にはモルトウイスキーだけで100を超える蒸留所が存在します。
2009年スコッチ・ウイスキー規則は、スペイサイドをハイランドから独立させる形でハイランド、スペイサイド、ローランド、キャンベルタウン、アイラの5つの地域を伝統的な生産地域に定めました。
ハイランド
スコットランドの北の方に位置するハイランド地方にはおよそ40の蒸留所が存在しています。範囲が広いため、味の特徴も定まってはおらず、ハイランドの中でさえ東西南北に分類するのが一般的。
グレンモーレンジ・オリジナル
スコットランドで一番売れているグレンモーレンジィは「完璧すぎるウイスキー」と呼ばれている。年数表記が無くなりましたが、10年以上熟成されたモルトを使用しています。スコットランドで一番背の高い(5.13m)ポットスチルを使っていることも有名。
明るい柑橘系の爽やかな香りが特徴的で、バニラ香もあり甘くフルーティーで飲みやすい。ハーブのアロマも感じられます。
スペイサイド
ハイランド地方東部のスペイ川の近辺をスペイサイドといい、スコットランド全土の約半数のあたる約50もの蒸留所が存在する。スペイサイドモルトは全体的に華やかな甘みがあり、バランスに優れた銘酒が揃っています。
ザ・グレンリヴェット12年
グレンリべット蒸留所で生産されるシングルモルトの品質は極めて高く、その評判にあやかろうとして自分たちの商品に「グレンリヴェット」と名付ける同地域の蒸留所が続出したが、政府公認となったグレンリヴェット蒸留所だけが、定冠詞「ザ(The)」をつけることが許され「ザ・グレンリヴェット」と名乗ることが出来ます。
もっとも有名なシングルモルト「ザ・グレンリヴェット」は、 非常にスムースな口当たりでシングルモルトの入門に最適。
特有のバニラやはちみつの甘さを伴う芳醇でソフトな風味の中に、繊細でバランスの取れた味わいは「すべてのシングルモルトはここから始まった」といわれるほど。
グレンフィディック12年
世界で初めてシングルモルトウイスキーとして売り出したグレンフィディック12年は今日では、世界で一番売れているシングルモルトウイスキーへと成長しました。
新鮮な洋梨のようなフルーティな香りと、微量の樽香がもたらす複雑で上品な味わいが特徴。シングルモルトの中ではライトでスムーズ。
ザ・マッカラン12年
イギリス最大の老舗高級百貨店「ハロッズ」から「シングルモルトのロールスロイス」と称されている。
本当にいいものだけしか使わないというこだわりの製法で、ザ・マッカランの原酒となれるのは全蒸溜液のわずか16%しかないのです。
そして、最大の特徴であるシェリー樽熟成によって華やかでラグジュアリーな味わいに仕上がっています。シェリー樽原酒由来のドライフルーツを思わせる甘みとかすかなスパイス、重厚で華やかな香りが特徴のシングルモルトウイスキー。
ローランド
スコットランドの南の方をローランド地方という。穏やかな風味のウイスキーが多いので、初心者にもオススメできるのだが、現在稼働しているのは3ヶ所のみ。
オーヘントッシャン12年
極めて爽やかな香りと軽やかなボディが特徴のオーヘントッシャン。
最大の特徴はローランドの伝統である3回蒸溜を行っていること。通常モルトウイスキーの蒸溜は2回ですが、3回の蒸溜を行うことにより、蒸溜されるアルコール度数は高くなり純粋アルコールに近づいていきます。この製法により、オーヘントッシャンは軽やかで都会的なすっきりとした味わいに仕上がるのです。
幾重にも立ちのぼる繊細な香り。スムーズな飲み口にアーモンドやキャラメル様の甘さ、シトラスの甘酸が漂い、ドライな感覚の余韻が楽しめる。
キャンベルタウン
キャンベルタウンは、キンタイア半島先端にある町である。かつては30を超える蒸留所が存在し、モルトウイスキー造りの中心地であったが衰退し、2008年3月の時点で3箇所のみとなっている。香り豊かで、オイリー、塩っぽい風味が特徴。
スプリングバンク10年
塩辛さが特徴のキャンベルタウンモルト伝統の味を受け継ぐ「スプリングバンク」は、香りが豊かで、グラスに注いだだけで部屋中に甘い香りが充満していく。
オイリーで樽の香りが強く複雑さを増しています。塩気がありナッツのようなクリーミーな味わい。癖はあるが、非常にバランスが取れている。
アイラ
アイラ島には8つの蒸留所があり、どれも個性的な味わいです。蒸留所が海辺にあり、熟成樽が常に潮風を受け続ける影響からヨードチンキや正露丸のような薬臭い香りがする。また、たくさんのピートを焚いたことによるスモーキーさも特徴。
ボウモア12年
「アイラモルトの女王」と呼ばれるボウモアは、スモーキーでフルーティー、そしてハチミツのような甘くエレガントな香りのバランスが麗しい。洗練された気品と力強さを兼ね備え、潮の香りが魅力のアイラモルトの中でも最もバランスが良い。
個性的なアイラモルトの入門には最適です。
ラフロイグ10年
アイラ島でつくられるモルトは、 総じてスモーキーで海藻や潮の香りが特徴。その中でも、ラフロイグは「アイラモルトの王」とさえ呼ばれ極めて個性が強いが、世界で最も愛されているアイラモルトである。
薬品のヨードチンキや正露丸のような独特な香りに、 味わいはオイリーで濃厚、やや塩っぽくてドライな後味といった強烈な個性があり、ウイスキー愛飲家でさえ「惚れ込むか、大嫌いになるかのどちらか」と昔から評されてきた。
ラガヴーリン16年
「アイラ島の偉大な巨人」ラガブーリンは、最も情熱的でスモーキー、潮や草のような豊かで複雑な香味で多くの愛好家からアイラモルトの決定版と評価されています。
アイラモルトの各銘柄のスタンダードが10年か12年なのに対して、このラガヴーリンはスタンダードが16年という長期熟成らしくフルボディでパワフル。
ピート、海草、ウッド、フルーツの力強い風味の広がりで島の名を世界的に知らしめた。少しウッディな海塩の味覚が続き、長く上品なピート香に満ちた後味が特徴です。
まとめ
スコッチウイスキーの中でも、産地によって味が大きく異なるシングルモルト・ウイスキーが面白い。軽くスムーズで初心者向けのものから、スモーキーで薬品のようなクセが強いものまで幅広く楽しめます。
個性的なアイラモルトは、一度でそのおいしさに気付くことは出来ないかもしれません。しかし、徐々に飲んでいくうちにやっと好きになることも多いです。
昔にアルバイトでお世話になったBARのマスターが言っていました。
「たったグラス1杯で判断するな」
「恋愛と同じで一目ぼれもあれば、嫌いから始まることもある」
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